晩冬の風にすすきがそよぐ。
冷たい雨も、わたしには前ほど冷たくなくて
春先に少し暖かい空気に触れたときの高揚感と似た感覚を味わう自分に
驚きと喜び。
体温があがって
冬が嫌ではなくなったこと。
歩くのが好きになったこと。
こんな素敵な神社が実家の近くにあるなんて、
15年ものあいだ知らなかった。
きちんとご飯を食べられること。
きちんと食材を吟味して選んで、大切に扱って味わえること。
愛されて育てられ流通してきたお野菜は、美味しさがプライスレス。
真っ赤に燃える朝日をあびて
ゆったりと、朝のしたくができること。
季節を味わうこと。
冬から春にうつりかわる一瞬と
金木犀の香りがふわりと鼻先をかすめる一瞬だけが、
肌で季節を感じる数少ない折々だったけれど。
もうすぐ梅が咲く季節の、
冬の澄んだ空気のにおい。
きちんとやりはじめたこと。
年中行事を味わうこと。
七草粥とゆり根のてんぷらに、食卓が華やぎ
時間がくつろぎ
家族の顔がほころんだ。
母と祖母、妹そして主人にふるまった七草粥。
特別なことは何もなくて、
ただただ 暮らしのひとつひとつと丁寧に向き合えるようになっただけなのだけど。
幸せだ。